ビジネスシーンにおける言葉の使い方
ビジネスの場において、適切な一人称の使い分けは、良好なコミュニケーションを築くために不可欠です。これは学校ではなかなか教えてもらえないですね。
サラリーマンとしては必須の知識ですので適切な使い方ができるように理解しておきましょう。
特に、新社会人や、ビジネスマナーを再確認したいベテランにとって、一人称の選び方は基本的なルールの一つとして押さえておきたいポイントです。
ベテランサラリーマンはもう一度振り返って自分を見直してみましょう。
この記事では、個人と組織それぞれでの一人称の使い方や、その際の注意点について詳しく解説します。
一人称の選び方:個人編
ビジネスシーンにおいて、まず最も基本となる一人称が「私」です。
この言葉は、性別を問わず、幅広いシチュエーションで使用できるため、特に迷ったときには「私」を選ぶのが無難です。
「私」の読み方には「わたし」と「わたくし」がありますが、一般的には「わたし」のほうが適度なフォーマルさを持ち、柔らかい印象を与えるためおすすめです。
一方で、親しい先輩や上司とのカジュアルな会話では、「僕」や「自分」といった一人称も使用されることがあります。
ただし、どれほど親しい間柄であっても「俺」という表現は避けるべきです。
これは、年齢や役職にかかわらず、ビジネスマナーとして非常に失礼とされるためです。
女性の場合は、基本的に「私」を使い続けることが無難です。
また、特定の状況で使用される一人称として「小生」や「小職」という言葉もあります。
これらは知的で格好良い印象を与えるかもしれませんが、使用には注意が必要です。
「小生」は、目上の相手に対して使用することが適切ではなく、同格または目下の人に対してのみ使うべき言葉です。
「小職」に関しては、公務員など官職に就いている場合に使われるものであり、民間企業で働く人は使用を控えるべきです。
さらに、「小生」は男性専用の一人称であるため、女性が使用することは避けるべきです。
「弊職」という言葉も時折見かけますが、これは「弊社」と「小職」を組み合わせた造語であり、正しい日本語ではないとされています。そのため、特にビジネス文書では使用しないほうが良いでしょう。
「私」以外の一人称をどうしても使いたい場合には、「当職」や「下名」といった選択肢もあります。「
当職」は「小職」の謙譲語ではなく、目上の人に対しても使用可能ですが、特に丁寧な表現でもないため、使用は避けたほうが無難です。
「下名」は非常にへりくだった表現であり、目上の人に対して使うことができますが、堅苦しい印象を与えるため、状況に応じた使い方が求められます。
一人称の選び方:組織編
次に、組織としての一人称の使い方について考えます。
社外の人とのやり取りにおいて最も一般的で丁寧な表現が「弊社」や「弊方」です。
これは取引先や新しい顧客に対して適切な表現です。また、所属する組織によっては、「弊行」(銀行)や「弊事務所」(会計事務所)といったように、適宜一人称を変えることができます。
どちらを使うべきか迷った場合は、「弊方」を選んでおけば間違いありません。
信頼関係が築かれている相手に対しては、「当方」や「当社」といった一人称も許容されます。
例えば、クレームや苦情を伝える際に「弊社」という表現が柔らかすぎると感じる場合、「当方」を使用するのも一つの手です。
この場合も、「当〇」の〇に組織名を当てはめることで、より適切な表現になります。
社内でのやり取りにおいては、「我々」や「私ども」といった一人称が適しています。
これらの言葉は、組織内での別部署とのコミュニケーションにおいても、適切であるとされています。ただし、「当方」は異なる組織間でのやり取りに使うべき表現であるため、社内で使用することには違和感があります。
しかし、大企業においては、部署間の距離が非常に遠い場合もあるため、状況に応じて「当方」を使うケースもあります。
まとめ
ビジネスシーンにおける一人称の使い方は、相手との関係性や場の状況によって大きく変わります。正しい一人称を選ぶことで、相手に好印象を与え、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
特に、新社会人の方や、言葉遣いを再確認したい方は、ここで紹介したポイントを参考にして、適切な一人称を使い分けるようにしましょう。
さらに、ビジネスシーンでよく使われる「取り急ぎ」という言葉についても理解しておくと、コミュニケーションの質をさらに向上させることができます。「取り急ぎ」という表現は、礼儀や準備が整っていないことを前提に、急ぎで伝える必要がある場合に使われますが、この言葉を適切に使いこなすことで、相手に対して失礼のない対応が可能となります。
ビジネスマナーは日々の積み重ねが重要です。正しい言葉遣いを意識し、相手を尊重する姿勢を持って、ビジネスの場で成功を目指しましょう。